東京地方裁判所 昭和52年(特わ)1963号 判決 1977年12月19日
被告人
(一)
本店所在地 東京都中野区本町四丁目四四番二三号
株式会社富士商会
(右代表者代表取締役山浦晟暉)
(二)
本籍 東京都中野区本町四丁目六一番地
住居
同都杉並区西荻北三丁目二八番一号
会社役員
山浦晟暉
昭和一〇年一〇月三日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官五十嵐紀男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告会社株式会社富士商会を罰金一、〇〇〇万円に、被告人山浦晟暉を懲役一〇月に、それぞれ処する。
被告人山浦晟暉に対し、この裁判確定の日から二年間、右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社富士商会は、東京都中野区本町四丁目四四番二三号に本店を置き、写真機、写真材料の販売及びカラープリントの製造販売等を目的とする資本金一、四〇〇万円の株式会社であり、被告人山浦晟暉は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人山浦は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部除外をする等の方法により所得を秘匿したうえ
第一 昭和四九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七三、六八四、一五七円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、同五〇年二月二五日、東京都中野区中野四丁目九番一五号所在の所轄中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七、四〇三、九〇二円でこれに対する法人税額が、一、九八二、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法納期限を徒過させ、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二八、四九四、九〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)と右申告税額との差額二六、五一二、四〇〇円を免れ、
第二 同五〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五八、九六二、三八五円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったにもかかわらず、同五一年二月二六日、前記中野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が六、九八〇、一二九円でこれに対する法人税額が、一、六七九、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二二、四七〇、〇〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額二〇、七九〇、四〇〇円を免れ、
たものである。
(証拠の標目)
(各証拠末尾番号欄は検察官証拠請求甲番号を示す)
判示冒頭の事実及び全般にわたり
一、被告人の当公判廷における供述
一、同じく収税官吏に対する質問てん末書
一、同じく検察官に対する供述調書
一、東京法務局登記官作成の被告会社登記簿謄本(1)
木村誠治の検察官に対する供述調書(2)
一、同じく収税官吏に対する各質問てん末書二通(3、4)
判示第一、第二の各事実添付の別紙(一)、(二)の修正損益計算書に掲げる各勘定科目別当期増減金額欄記載の数額につき、
<当期商品総売上高につき>
一、収税官吏山本孜作成の売上・売掛金調査書(7)
一、木村誠治の検察官に対する供述調書(2)
一、同じく収税官吏に対する昭和五一年九月三日付質問てん末書(3)
一、小沢季夫の検察官に対する供述調書(5)
一、押収してある売上帳(当庁昭和五二年押第二二二七号符一、二)
<期首繰越商品・期末棚卸商品につき>
一、収税官吏山本孜作成のたな卸調査書(8)
一、木村誠治の収税官吏に対する昭和五一年一二月二四日付質問てん末書(4)
<当期商品仕入高につき>
一、収税官吏山本孜作成の簿外仕入調査書(9)
一、小沢季夫の収税官吏に対する昭和五二年一月七日付質問てん末書(6)
一、検察事務官宮前義司作成の報告書(25)
<給料・福利厚生費・公租公課(昭和五〇年一二月期のみ)・接待交際費・修繕費・自動車費(昭和五〇年一二月期のみ)・消耗品費・支払手数料(昭和五〇年一二月期のみ)・出張旅費(昭和五〇年一二月期のみ)・退職金(昭和五〇年一二月期のみ)・雑費・販売促進費・募集費につき>
一、収税官吏山本孜作成の簿外経費調査書(10)
一、収税官吏山本孜作成の簿外経費(自動車賃)回答書(26)
一、検察事務官宮前義司作成の報告書(消耗品勘定について)(27)
<減価償却費(昭和五〇年一二月期のみ)につき>
一、収税官吏山本孜作成の報告書(添付の被告会社昭和五〇年一二月期修正申告書別表一六(二)減価償却資産償却額明細書)(15)
<雑収入につき>
一、収税官吏山本孜作成の雑収入未収入金調査書(11)
<受取利息につき>
一、収税官吏山本孜作成の簿外預金残高及び利息調査書(12)
<価格変動準備金繰入・価格変動準備金戻入につき>
一、大蔵事務官小畑修作成の証明書(13)
<損金計上役員賞与につき>
一、収税官吏山本孜作成の簿外経費調査書(10)
一、押収してある被告会社の昭和四九年一二月期分、昭和五〇年一二月期分各確定申告書各一袋(前同押号符五、六)
一、検察事務官宮前義司作成の報告書(役員賞与について)(28)
<交際費損金不算入額につき>
一、収税官吏山本孜作成の査察官報告書添付の昭和四九年一二月期、昭和五〇年一二月期各修正申告書の別表一五「交際費等の損金算入に関する明細書」(15)
一、押収してある被告会社の昭和四九年一二月期分確定申告書(別表一五交際費明細書)(前同押号符五)
<事業税認定損につき>
一、収税官吏山本孜作成の事業税調査書(14)
別紙(一)、(二)修正損益計算書に掲げた公表金額及び過少申告の事実について
一、押収してある被告会社の昭和四九年一二月期分、昭和五〇年一二月期分各確定申告書各一袋(当庁昭和五二年押第二二二七号符五、六)
(法令の適用)
被告会社につき
いずれも法人税法一五九条、一六四条一項。刑法四五条前段、四八条二項。
被告人につき
いずれも法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)。刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)。同法二五条一項。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松澤智)
別紙(一) 修正損益計算書
株式会社富士商会
自昭和49年1月1日
至昭和49年12月31日
別紙(一)の2
別紙(一)の3
別紙(二) 修正損益計算書
株式会社富士商会
自昭和50年1月1日
至昭和50年12月31日
別紙(二)の2
別紙(二)の3
別紙(三)
税額計算書
自昭和49年1月1日
至昭和49年12月31日事業年度分
株式会社富士商会
別紙(四)
税額計算書
自昭和50年1月1日
至昭和50年12月31日事業年度分
株式会社富士商会